题目内容

人間は快感を求め、不快感をなくそうと努力する。多くの人、特に若い人にとって、スピード感は快感の中の重要な一種になっている。自転車より自動車のほうが好まれる理由の一つは、スピードがより大きい点にある。日常生活のテンポが、だんだん速くなってきた自体を進歩と考える人が多いのも、同じ理由からであろう。①()人間はずっと走り回っているわけにはいかない。毎日、何時間かは寝なければならない。起きている時でも時々は休息したり、思い切って動作のテンポを遅くしたくなる。能のように動きの少ない、動きの遅い芸能が今日まで残ったことは、②そういう高度のバランス感と関係があるのであろう。そういうことと関連して、私が前から気にしていたのは、速さにも遅さにも限度があるはずだということである。速い方も遅い方も、③ある限度を超すと不快感に変わってしまうのではないか。人間の生理的なリズムからあまり離れてしまうことは、危険であるだけでなく、生の感覚より死の感覚に、より近くなるのではないか。そういう限度は、人間の生理に基づく以上、昔も今も、あまり変わらないのではないか。そんなことを時々、考えたりして、ある時ふと能勢朝次という学者が昭和十八年に書いた「能の見物今昔」という一文が目に入った。彼は室町時代のある日記の内容から、当時の演能の一番一番の平均時間を算出し、それが現在よりずっと短いことを見出した。すると、能のテンポは昔のほうが、かえって速かったことになる。これは注目すべき発見である。遅さに対する忍耐力にも生理的な限度があり、それは昔も今もあまり変わっていないらしい。現代人の私が能を見て退屈しがちなのも、必ずしも理解力の不足によるものではなさそうに思われる。このことは、また速い方の限界もあまり変わりえないことを示唆している。現代のスピード狂的傾向は、やはり異常であり、生理的限界を越している、と考えるしかないであろう。 67. ①()に入れるのに最も適切なものを一つ選びなさい。

A. そこで
B. しかし
C. あるいは
D. さらに

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66. この文章の内容と合わないものはどれか。

A. 騒音の中でも会話できるのは、人間の耳の正確さによる。
B. 人間は興味や関心によって外界の刺激に反応し、理解する。
C. テープレコーダーは、あるがままのものを公平に録音する。
D. 人間の耳は、音の大きさに関係なく必要するものに反応する。

65. ③「重要な意味」を持っているのは何か。

A. 台所の物音
B. 看護
C. 子供の病気
D. 居眠り

64. ②「馬耳東風」とはどういう意味だと思われるか。

A. 必要と感じること
B. 聞こえても気にしないこと
C. はっきりすること
D. 分け隔てなく聞くこと

騒音のうるさい電車などの中でも会話ができる。うるさいとは思うけど、相手の言うことはなんとか聞き取っている。聞き取れぬ部分は見当をつける注1。しかし、テープレコーダーでのそれを録音してみると、会話はほとんど聞き取れないことに驚くのである。この差は人間の耳と機械の耳の相違による。人間の耳は自分の欲する声音を選び出し、それを増幅してキャッチし、欠損部は、補充する。①それに対して、機械は音声も騒音も分け隔てしないで公平に記録してしまう。これによっても、人間の耳はあるがままのものを聞くのではなく、必要と感ずるものだけを聞く器官であることがはっきりする。必要がないと思えば、②馬耳東風、聞けども聞こえずになる。何日も病気の子供の看病をしている母親があるとする。看病の疲れでまどろみ注2がちになるだろう。うとうと注3している時、台所で物の落ちる大きな音がしても、彼女はまるで反応を示さず居眠りを続ける。ところがそのあと、病児がかすかな声を出すと、母親はとたんに目を開く。この母親には、台所の物音などはどうでもよいが、病児のちょっとした変化でも③重要な意味をもっていて居眠りをしながらも子供には注意が向けられているのである。このように、人間の認識は外界の刺激のあるがままに忠実に反応して得られるものではない。われわれが理解したと思っているのは、対象のコピーではなく、あらかじめもっている感心によって選択された情報によってつくられたものである。忠実な録音テープと比較すれば、人間の理解はある意味で一種の誤解であることがはっきりするはずである。 (注1)見当をつける:いろいろな材料によって、たぶんこうだろうと判断すること。(注2)まどろみ:短い時間眠ること。(注3)うとうと:ちょっとの間浅く眠るさま。 63. ①「それ」は何をさすか。

A. 電車の騒音
B. 聞き取れない部分
C. 自分の言うこと
D. 電車の中の会話

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