题目内容

(3)桜が終わり、さまざまな春の花がいっせいに咲きそろうころになると、少しばかり憂鬱(ゆううつ)になる。(注1)自分をもてあます。例年春が終わるまでは憂鬱に沈みこんで過ごすのだが、先日ちょっと①目を見開かされることがあった。見開いてくれたのは、小学生の少年である。彼と私はときおり「世間話」をする仲だ。あるとき彼は、「あのね、おばちゃん。ぼくね、自分がへんな顔してるんで、いやだったんだ」と始めたのだ。驚いた。彼を知ってから何年かになるが、そんなことを思っているとは、(注2)つゆ知らなかった。彼の顔を私は(注3)まじまじ眺めた。なるほど平凡な、これといった特徴のない顔である。へんな顔だちだろうか。わからない。子供らしさがかがやいている顔ではあるが。「洗面所の鏡を見るたびにね、悲しかったの」。そうなの、と私は( ② )に答えた。話がどう展開するのか、緊張していた。彼はごく真剣である。「見るたびにへんな顔、って思ってた」へんじゃないと思うけどなあ。私はさらに( ② )に言った。「いや、へんだった。へんなんで、あんまり鏡を見ないようにしてた」。うーん。「そしたらね、一年前に引っ越した家の玄関に大きな鏡があったの」。うん。「毎日何回も、玄関で自分を見ることになるんだよ。③いやだった。ところがね、ぼく」。そこで彼は(注4)照(て)れて言葉をとぎらせた。ところが?「そのうち自分の顔をへんじゃないと思うようになったんだ。けっこう可愛いって思うようになったんだよ。」そうかあ、そうなのかあ。よかったね。「よかったよ」。彼は嬉しそうに頷(うなず)いた。でもなぜ、と私は聞いた。なぜ?「あのね、毎回顔見るたびに、へんじゃない、へんじゃない、って自分に言い聞かせたんだ。そしたら、いつの間にか、へんじゃなくなったんだよ」。ふうん、と私はうなった。「ずっとへんだったら、自分がかわいそうでしょ。だからね、ぼく、一生懸命言い聞かせたんだよ」。そう彼は話を(注5)しめくくったのである。教えられてしまった。憂鬱な気分にひたりこんでいる自分が、恥ずかしかった。桜は散り、月日は過ぎ去る。(注6)無為(むい)に(注7)うつうつしていてかわいそうなのは、じつに自分自身なのであった。(川上弘美 『なんとなくな日々』による)(注1)自分をもてあます:どうしていいかわからなくなる(注2)つゆ知らない:少しも知らない(注3)まじまじ:視線をそらさないでじっと(注4)照(て)れる:恥ずかしそうな顔をする(注5)しめくくる:話をまとめて終わる(注6)無為(むい)に:何もしないで(注7)うつうつ:心がふさいで楽しくない様子 ( ② )に入る最も適当な言葉はどれか。

A. 慎重
B. 冷淡
C. 愉快
D. 親切

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(2)家事労働は、やってみると案外と簡単なものだ。嘘だと思う男性諸君は、一度やってみるといい。今はいい洗剤があるから皿洗いは楽だし、研(と)いだ米に分量の水を入れて、スイッチを押せば自然に炊きあがる電気炊飯器(すいはんき)という便利な器械もある。やる気になれば男だって一人で飯をつくり、暮らして行けないことはない。わが家は、妻が毎日仕事に出かけ、僕は家で仕事をしているから、生活のパターンがふつうのサラリーマン家庭とは逆になっている。そうは言っても、仕事から帰って来た妻が食事を作り、後片付けもしていた。それを見て、大変そうだなと思い、後片付けくらいはしてやるよと気軽に台所に立ってみた。ところが、やってみると案外に楽しかった。汚れた食器が次々にきれいになっていくのはなかなか気持ちのいいものだ。わずか10分か15分で、ひと仕事終えたという労働の充実感も味わえる。この、ひと区切りつくというのが家事労働の面白いところかもしれない。60歳を過ぎた僕がこんなことを言うと、同年輩(どうねんぱい)の(注1)亭主(ていしゅ)族からはなんと(注2)甘っちょろいと思われるかもしれない。20代30代からは、なんで今さらそんなことに気づいたのだと言われそうだ。「最近の女性は耐えるということを知らない」などと世間では言っている。確かに昔に比べると、我慢するということが少なくなったようだが、これは( )ことだと思う。昔の女性が我慢していたのは、経済力がなくて夫に養われているという意識があったからだろう。今は、仕事を持ったり(注3)パートタイムで働いたりして、ちゃんと収入を得られるようになった。しかも、亭主が汗水たらして働いていても、たいして高い給料をもらっているわけではないのだという現実もわかってくる。(中略)わが家の場合、今の若夫婦のように、権利だ義務だと分けて、家事を分担しているのではない。なんとなくそういう具合になっている。とはいえ、サラリーマンを続けていたら、なんとなくそういう具合にはならなかっただろう。権利だ義務だというのは、(注4)押しなべて世間に広がらなくてはならない決まりである。家庭にそんなものはいらない。家庭にあるのは(注5)流儀(りゅうぎ)だろう。サラリーマンにはサラリーマンの家庭の、わが家にはわが家の流儀がある。おおまかであって、伸縮(しんしゅく)自在だけれども、ひとつの流れになっているという曖昧(あいまい)な流儀(りゅうぎ)が、おおまかな僕には似合っている。(常盤新平 『ベストパートナー―「夫婦」という名の他人』による)(注1)亭主(ていしゅ):夫(注2)甘っちょろい:考えが甘い(注3)パートタイム:正規の雇用ではない短時間の労働(注4)押しなべて:全体にわたって(注5)流儀(りゅうぎ):物事のやり方、手法 筆者は、家庭における夫婦の役割は何によって決まると考えているか。

A. それぞれの家の事情に沿った独自のやり方
B. 家事は女の仕事だという伝統的な社会規範
C. 世間全体に受け入れられるべき価値基準
D. 家事は男女が平等に分担すべきだという考え方

問題Ⅶ 次の[61]から[65]の言葉の使い方として最も適切なものを、1234から一つ選びなさい。 忠実

A. その計画はきちんと忠実するように努力します。
B. それが彼の忠実の姿です。
C. 忠実と説明したので、質問はあまり出ませんでした。
D. これは事実を忠実に再現したドラマです。

問題Ⅵ 次の[56]から[60]の___の言葉の意味が、まじめの文と最も近い意味で使われている文を、1234から一つ選びなさい。 のびる……会議が1時間のびたので、サッカーの試合を見にいけなくなってしまった。

A. 医学の進歩によって、年々、寿命がのびている。
B. 予定が変わって、出発が明日にのびた。
C. その会社は、ここ数年売り上げがのびている。
D. しばらく会わないうちに、背がのびたね。

問題Ⅶ 次の[61]から[65]の言葉の使い方として最も適切なものを、1234から一つ選びなさい。 へりくだる

A. 彼はだれに対してもへりくだった話し方をする。
B. 子どものころ、登った木からへりくだれなくて困ったことがある。
C. 川沿いをへりくだる道を歩いて行った。
D. 何度も頭をへりくだって謝った。

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